軸受規格では内部設計は指定されない?
工業規格は日本ではJIS、ドイツではDIN、国際標準はISOでそれぞれ相関関係があります。
それぞれ軸受の規格があり大体似たような内容となっています(厳密には違いがありますが)
軸受形式、軸受の系列など有りますが、例えば深溝玉軸受の同じ型番でもメーカーによって使用されるボールのサイズや数が違ったりします。
軸受内部設計は製造メーカーの自由にしてよい、ということになっているのです。これは各メーカーが研究しより良い製品の進化を阻害することがあってはならないと言う事で内部設計は規格化されていないんですね。
そして、同じ内径で軸受系列の違いがある場合、外輪のサイズのみを変更し、ボールのサイズ、数量は同一と言うケースが多々見られます。
これは生産の合理化で内輪とボールを共通化し外輪のみの違いでサイズバリエーションを増やしていると言う事なんです。
ですから、外輪サイズが大きくなると定格荷重が必ずしも大きくなる、というわけではないので要注意です。
軸受規格アップデートの流れ
実はドイツやスウェーデンのメーカー独自に開発された社内規格がその理論や実用性、信頼性を検証されたのちドイツの工業規格DINに反映される、という流れがあります。そして、DINに標準化されたその企画は数年後にISOに反映され、その後JISにも適応されるというケースがあります。現在ISOで標準化された疲労限界荷重というものがありますが、これもドイツのメーカーで社内で作られISOで検証され規格化されたものです。当時ドイツのカタログにはCu値というデータが各型番に記載されていましたが日本では規格化されていなかったのでその記載はありませんでした。(一部、独自にデータを出している国産メーカーもあり)
もちろん、日本発の規格がISOになる場合もありますが、言いたいのはやはりドイツのメーカーは理論を突き詰めてルール化するのが上手だなぁということです。
軸受不具合の原因って・・・
軸受にトラブルはつきものです。もちろん、元来寿命というものがあるので使い続ければいつかは壊れるわけですがその原因をビッグデータから判明したのが以下です。

実際に完全にクリーンで一切のミスアライメントが無い状況というのは実験室でしか再現されないようなものですし、コンシューマー製品ではエンドユーザーがどのような扱いを行ったかまではわかりません。
しかし、取り外した軸受を分析するとどのような現象が発生していたかわかる場合が多いです。
不具合クレームはOEMのお客様にとって頭の痛い話ですが、ユーザーへの正しい使い方を指導することも大切だというお話でした。
軸受メーカーの乱立と台頭
中国には4000社を超える軸受メーカーがあるらしいです。日本ではビッグ4とそれ以外ではせいぜい20社ほどでしょうか。
確かに人口が10倍の国ですから多いのはわかりますが多過ぎじゃないかと思ったりしました。
よくよく聞いてみたら、このメーカーはDGBBの62系列しか作れないとか、外径20mm以下しか作っていないとか、単一型番のみしか作っていないとかのメーカーがそれぞれ寄ってラインナップにしているとかもあります。
だから、試験で使って良好なので他のサイズを試験すると全く状況が違うなどと言う事もあります。
しかしこれは過去の話で現在は、特にここ数年は技術レベルが飛躍的に進歩してきており汎用品などは遜色ない使用結果となっているみたいです。
コモディティ化した標準軸受は今後それらの国のメーカーに席捲されてゆくのでしょうか?
一部は汎用品でシェアを取られるでしょうがやはり特定の分野では日本製はまだまだ優位性を持っていると思います。
電気自動車で急成長したBYD社も重要な電動アクスル、減速機には日本製の軸受が使用されているそうです。 高品質な製品を永続的に供給するという製品だけではない信頼が認められているのでしょうね。


