KMFとはどんな会社?
創設者の経緯
KMFは、ヘルムート・バスナー氏によって1986年にドイツ・シュトゥットガルトのボップフィンゲンで設立されました。
彼はドイツのINAベアリング社で長年勤務し、旋回輪ベアリングの責任者として数多くの独自製品を開発。INA創設者のヴィルヘルム・シェフラー、ゲオルク・シェフラーと共に、保持器付きシェル型ニードルベアリングを開発し、世界的ヒット商品へと導きました。この成功により、INAは一気に大企業へと成長しました。
シェフラー兄弟の理念は、「常識にとらわれず、先進的で合理的な製品を世に送り出すこと」「摩擦を低減し、エネルギー効率を最大化すること」。特に生産技術では、塑性加工技術を極め、板金プレスの高精度化を実現しました。
その後、ヘルムート・バスナー氏はFranke社に移籍し、数々の特許を取得して貢献。しかし、大企業では利益追求が優先され、彼の理想とする技術主導型の経営とは相容れませんでした。そこで、彼は自身の理想を実現するため、KMF(Kunststoff-Metall-Formteile GMBH)を設立しました。
創設者の基本理念
KMFは、ヘルムート・バスナー氏の理念を体現した会社です。
・樹脂・金属の塑性加工を基盤とする
・大企業病に陥らない
・利益最大化を最優先しない
・オンリーワンの技術を持つ企業を目指す
・営業組織を持たず、製品の品質で勝負する
・独自技術は特許を取得せず秘匿する
また、KMFは独自の運営方針を徹底しています。
・社員数は20名以下(トップの目が行き届く規模)
・独自技術はバスナー氏の息子・ダニエル氏のみに伝授
・カンバン方式を採用せず、十分な素材在庫を確保
・射出成型金型の生産は秘匿性の高いスイスで実施
これらは、一般的な経営戦略とは異なるものの、KMFはこの方針のもとで安定した成長を遂げています。

KMF社とのパートナーシップ
私たちは、KMF社との販売権契約および技術トレーニングのために現地を訪問しました。KMFから独占販売契約の申し出があり、すでに販売を開始していた私たちにとってもタイミングが合致。すぐに契約を締結し、現地で詳細な話を聞くこととなりました。
特に印象的だったのは、支払い条件に関する考え方の違いです。日本では、初期取引において前払いなどの厳しい条件が課され、信頼関係が築かれた後に後払いへ移行するのが一般的。しかし、KMFは初回から標準的な納入後支払い(Open Account)を適用。その後、問題が発生すれば条件を厳しくするというスタンスでした。
この経験を通じて、私たちの視野は大きく広がりました。
日本市場への展開
エフティーエンジニアリングと親会社のファイブ・テックは、KMFの理念を深く理解し、日本市場での展開をサポートしています。KMFの技術を活用し、お客様の製品・機械が世界市場で競争力を持つよう、全力で支援してまいります。



