KMFのクロスローラーソリューション

クロスローラーベアリングは旋回輪の一種ですが、転動体に円筒ころを使用し45度接触角のローラーが交互に配置されている単列でアキシャル、ラジアル4方向の荷重を受けれる軸受です。また、線接触のローラーのアンギュラーにより大きなモーメント荷重にも向いております。

ウイークポイントは円筒ころによるスキュー滑りによる発熱ところ端面が反対側の転走面と滑り接触による発熱があげられます。また、構造上ころを分離するスペーサーが内部空間容積を占拠してしまうためグリスの保持量が少ないことと、線接触によるスクレ―ピング(掻き出し)現象による油膜切れが発生しやすい条件が重なって油膜切れによる発熱上昇で焼き付き減少があります。

KMFのクロスローラー

クロスローラーベアリングは定格荷重が高く省スペースで使い勝手が良いのですが油切れによるトラブルも多い事にKMFは注目しました。

既存のクロスローラーは内外輪の厚みに対して転動体ころサイズを最大化して定格荷重を大きくしておりましたが、KMFは転動体を若干小さくしてでもグリス保持量を最大化すべく、転動体ころの分離にスペーサーではなくチェーン式の保持器でころところの間にグリスを保持する量を最大化しております。このチェー式樹脂保持器はころの端部が反対の転走面に接触しない構造にしております。

また、保持器の端部はベアリングの非接触シールの役割を兼ねており異物混入も防止しております。

解消したデメリット

・グリス保持量 = チェーン式保持器でころ間の保持グリスを最大化
・ころ端面の滑り = チェーン式保持器で端部滑りを非接触化
・ころのスキューによる滑り = 転動体サイズ小型化により滑り率を減少

更にメリットが

・転走面に入れ穴なし
・リングの軸方向分割無し
・より高速回転
・低騒音
・分解可能(ローラーは保持器に保持され落下しない)

KMFクロスローラーベアリングは、スリムスプリットベアリングと同様の製法で内外輪が製造されています。

これは切削加工を行うことなく特殊転造技術でSUS310相当の素材を塑性加工変形で製造され、円周に1カ所切断面があります。この構造により入れ穴や上下分割を不要としています。切断面は斜めにカットされており、転動体が通過する際に余計な振動を発生させないよう工夫されております。

KMFクロスローラーシリーズとして断面が8mm角、13mm角、20mm角の3種類と内径は100mm以上500mmまで標準型番としてラインナップ、それ以上の内径も対応可能です。

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