【製品紹介】不可能を可能にする技術力:KMF社製 超巨大アキシャルローラーベアリング – 河川を渡る可動橋を支える核心技術

FT Engineering株式会社は、ドイツの特殊ベアリングメーカーKMF社が誇る、類稀なる技術力によって生み出された「超巨大アキシャルローラーベアリング」をご紹介いたします。KMF社は常にお客様の困難な要求に対してベストを尽くし、このベアリングもまた、その理念を体現する極めてチャレンジングな開発事例の一つです。

常識を覆すスケール:内径16メートル超の旋回部を支える

今回ご紹介するアキシャルローラーベアリングは、その圧倒的なサイズがまず目を引きます。

・内径: 16918 mm
・ローラー: 直径 ϕ52 mm、長さ 82 mm

このベアリングが活躍するのは、河川で船舶を通過させるために中央部が回転する「旋回橋」と呼ばれる可動橋の旋回機構です。まさに橋梁の心臓部を支える、極めて重要な役割を担っています。

巨大さ故の挑戦:分割製造と特殊輸送

これほど巨大なベアリングは一体構造での製造・輸送が不可能なため、複数のセグメント(分割体)として製造され、現地で組み立てられました。その巨大さゆえに、輸送には特別な配慮が必要となり、トンネルや通常の橋梁を通過できないため、ルートを選定しトラックで慎重に運搬されました。

サンプルを目にすると、その曲率はあまりにも大きいため、一見すると直線のように感じられます。しかし、注意深く横から観察すると、確かに設計通りのわずかなR(円弧)がついていることが確認でき、その加工精度の高さに驚かされます。

KMF社の真骨頂:独自の保持器技術と革新的な軌道面製造

この巨大ベアリングの実現には、KMF社が世界に誇る数々の独自技術が不可欠でした。

1.特殊樹脂保持器:

ローラーを正しい位置に保持するための「保持器」には、金属ワイヤーで補強された特殊樹脂が採用されています。これにより、巨大なローラーを確実に支持し、スムーズな回転を長期にわたり維持します。この保持器の設計・製造技術は、KMF社の特筆すべき強みの一つです。

2.焼き入れ硬化シートメタルによる軌道面:

KMF社の技術力が特に際立つのが、軌道面の製造方法です。一般的に軌道面は分厚い鍛造リング材から削り出して熱処理・研削されますが、この製品では「シートメタル」を軌道面として使用するという革新的なアプローチを採用しています。

・素材: DIN規格 CK65C(炭素工具鋼に類するばね鋼)の圧延鋼板ロール材
・製造プロセス: このロール材を、熱処理を加えながら所定の平面R(円弧形状)に精密に曲げ加工するという、極めて高度な技術で製造されます。
・表面仕上げ: 軌道面は精密に研削されており、ローラーベアリングの軌道輪として最適な面粗度を実現しています。

分割構造の妙:スムーズな回転と長寿命化への配慮

多分割構造でありながら、ベアリングとしての性能を最大限に発揮させるため、分割面の設計にもKMF社の深い知見が生かされています。

・斜めカット: 各セグメントの分割面は、ローラーが乗り越える際に衝撃が発生しないよう、斜めにカットされています。これにより、ローラーが分割面の段差に落ち込むことを防ぎ、円滑な回転を実現します。
・複数ローラーによる荷重分散: 分割面にローラーが差し掛かる際、常に2個以上のローラーが分割線を跨ぐように設計されています。これにより、1つのローラーに荷重が集中することを避け、応力集や破損のリスクを低減し、ベアリング全体の長寿命化に貢献しています。

揺るぎない実績:更なる大型案件と軍需分野での信頼

KMF社は、今回ご紹介したサイズをさらに上回る巨大ベアリングの製造実績も有しており、その技術力はとどまるところを知りません。また、極めて高い信頼性と耐久性が要求される軍需用の旋回輪(ターレットベアリングなど)の分野においても、多数の採用実績を誇ります。これは、過酷な条件下でも確実に機能するKMF社製品の品質の高さを如実に物語っています。

貴社の困難な課題に、KMF社の技術力でお応えします

FT Engineering株式会社は、KMF社の日本におけるパートナーとして、このような特殊かつ高性能なベアリングソリューションをお客様にご提案できることを誇りに思います。

標準品では対応できないような厳しいご要求や、前例のないアプリケーションでお困りの際は、ぜひ一度FT Engineeringにご相談ください。KMF社の持つ革新的な技術力と、私たちの提案力で、お客様の課題解決を全力でサポートいたします。

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