産業用ロボットの進化を支えるアンギュラーローラーベアリング- SREシリーズ

産業用ロボットの進化は目覚ましく、より高精度でパワフルな動作が求められる現代において、その基盤となる軸受の性能は極めて重要です。

特に、ロボットアームの各軸には、固定側と自由側の組み合わせとして薄肉軸受が頻繁に使用されています。従来の設計では、剛性を高めるために固定側には四点接触ボールベアリング、自由側には深溝ボールベアリングが用いられることが少なくありませんでした。

しかし、ドイツのベアリングメーカーであるKMF社は、この課題に対し、従来の最小軸受リング断面を維持しつつ、高い負荷容量と非常に高い剛性を兼ね備えた軸受の開発に注力してきました。その開発努力の結晶が、今回ご紹介するアンギュラーローラーベアリング – 組込み要素)SREシリーズです。

SREシリーズの革新的な構造と特徴

KMF社のSREシリーズは、以下の主要な要素で構成されています。

・2つのローラーレースウェイ(三角形形状)この独自形状により、最適な負荷分散と高い剛性を実現します。

・1つの複合構造斜めローラーケージ(プラスチック/スチール)このケージは、端部が溶接されたワイヤーリングによって一体化され、それぞれの使用直径と押圧角(特に45°)に調整されています。

・多数の円筒ころ狭いローラーピッチのため、直径Ø4、Ø7、Ø10mmの多数の円筒ころを組み込むことが可能です。

これらの構造により、SREシリーズの斜めローラーベアリングは、高い静的および動的負荷容量に加え、非常に高い剛性を実現しています。

優れた取り付け性と経済性

SREシリーズの大きな特長の一つは、その取り付けの容易さと経済性です。

・スリット入りローラーレースウェイ:ローラーレースウェイは、組み立てと機能上の理由からスリットが入っており、従来の薄肉軸受よりも大きな取り付け公差を許容します。

・斜めの突き合わせ部:スリットの突き合わせ部は約45°の角度がつけられており、転動体が乗り越える際に機能障害や騒音が発生するのを防ぎます。

・調整可能な軸受すきままたは予圧:スリット入りローラーレースウェイの最大の利点は、2つの斜めローラーベアリングを組み込む際に、接続構造を介してアジャストリングを使用することで、希望の軸受すきまや予圧を設定できる点です。これにより、取り付け後の微調整が可能となり、最適な性能を引き出せます。例えば、ねじリングを用いたすきま調整も可能です。

圧倒的な高負荷容量と高剛性

SREシリーズの最も注目すべき点は、その驚異的な負荷容量と剛性です。

薄肉軸受(四点接触ボールベアリングと深溝ボールベアリングの組み合わせ)と比較して、KMF社の斜めローラーベアリング(SRE 07 0210)は、静的アキシアル負荷容量 (C oa​ ) で6.7(117.6 KN vs 790.0 KN)、静的ラジアル負荷容量 (C or​ ) で3.2(48.5 KN vs 154.0 KN)もの高い性能を発揮します。

特に、2つのSRE斜めローラーベアリングをO字型またはX字型に配置した場合、静的ラジアル負荷容量 (C or​ ) は最大6.3(48.5 KN vs 308.0 KN)にもなり、その剛性は飛躍的に向上します。

この高い剛性は、産業用ロボットのような高精度な動きが求められるアプリケーションにおいて、システムの安定性と信頼性を大幅に向上させます。

KMF SREシリーズの主要な利点

KMF社の斜めローラーベアリングSREシリーズは、以下の優れた利点を提供します:

・高負荷容量:非常に高い静的および動的負荷に対応します。

・高剛性:システム全体の安定性と精度を向上させます。

・調整可能な軸受すきま:取り付け後に最適なすきま設定が可能です。

・簡単な取り付け:スリット入りレースウェイにより、取り付け作業が簡素化されます。

・コスト効率の良い接続構造:追加の固定具が不要で、周辺部品のコストを抑えられます。

・直径に依存しない設計:様々な直径に対応可能です。

・最適な価格性能比による経済性:高い性能を手頃な価格で提供します。

・短い納期:迅速な供給体制が整っています。

KMF SREシリーズがもたらす未来

KMF社のSREシリーズは、産業用ロボットやその他高精度が求められる機械において、これまでの軸受の概念を覆す可能性を秘めています。

その高い負荷容量、比類ない剛性、そして取り付けの容易さは、お客様の製品の性能向上、製造プロセスの効率化、そしてトータルコストの削減に大きく貢献することでしょう。

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