軸受のトポロジー的発想

学術的なTopology(トポロジー)とは違いますが、軸受の求められる機能とそれを達成する必要最小限の要素を考えて作られた製品があります。
前置きとして
転動体と転送面があれば転がり軸受として成立しますが、単に回転するだけではなく荷重を受けねばなりません。
そのために転動体と転送面には一定以上の硬度が必要です。軸受素材として作られた金属が軸受鋼です。これは、高炭素クロム鋼であり、高い硬度で摩耗を防ぎ高硬度を実現するために焼き入れ焼き戻し性を高める為、ニッケル、モリブデンなど配合されております。
また、疲れ疲労による損傷を低減させるため不純物を極力取り除いた清浄度の高い金属です。
軸受鋼は時代と共にその清浄度は高度になり軸受鋼が発明されたから現在は極限まで高まっています。そのため、軸受の信頼性は大幅に向上しており昔のL10寿命をはるかに超える性能が達成できております。
最小限の要素とは
現在の一般的な軸受はこれら軸受を内外輪、転動体に使用されておりますが、内輪、外輪そのものにある程度の形状構成要素として一定の肉厚(ボリューム)を持っています。
基本的にはハウジングは軸受外輪外径に合わせた穴に挿入(または圧入)されますが、使用状況によっては外輪にハウジングを使用しないものもあります。
KMFの考えたのは転動体が接触する転送面に必要な硬さは、どの深さまで必要なのかと言う事です。
コストの高い軸受鋼の使用を減らした方が合理的だからです。その結果2mmの転送面厚みがあれば耐えうると結論付けました。この2mmは下地にある程度大きな荷重を受けれるハウジング素材があるという前提で転動体が接触する接触面圧を分散させるのに必要な厚みと言う事です。

製品化する意味
普通、学術的にそれがわかってもそのようなものを製品化することは難しく、軸受SUJを2mm厚で製造する事の方が困難であり何のメリットもないからやる人はいなかったのです。
KMFはそれをCK65材(JIS/S65C相当)の高炭素鋼の圧延素材を用いて非常に合理的に製品化することに成功しております。
製鉄メーカーで標準的に生産される圧延鋼板のSC材を用いてそれを塑性加工、熱処理にて転送面を作り上げたのです。
一定幅の帯鋼というものがあります。帯鋼は大きなロール状で鉄鋼メーカーより供給されますが、それを素材として製造されます。
平たい帯鋼なのでラジアル軸受にはぐるりと巻くことで転送面とすることが可能です。特筆すべきは、スラストベアリングは平面のドーナツ状なので普通に考えれば大きな平板より切り出して円形を得る方法となりますが、これは端材が多く出て合理的ではありません。
KMFは帯鋼を平面で曲げて円形の軌道輪を製造する方法を考案しました。これにより帯鋼幅を数種類長尺で在庫し、必要に応じてあらゆる直径のスラストリングを製造することが可能となりました。どのようなサイズ(最小サイズの制限はあるものの)でも無駄になる端材が発生せず大変合理的です。
問題点の考え方
ネックになったのはつなぎ目をどうするか、ということです。
普通に考えれば溶接して溶接部分を機械加工し閉じた円形にするのですが、KMFはあえて溶接はせず、繋ぎ目を残したままにしました。
繋ぎ目は斜めにカットされ転動体(この場合はニードルか円筒ころ)の荷重抜けが無いように工夫されております。
結局、溶接したり機械加工したりするとそこでかかる工数がコストになってしまいメリットの出る合理化が出来ないからです。
また、溶接部分はどうしても成分や硬度の差が出たり割れたりとトラブルの原因になる可能性が高いので、それなら初めから分割していた方が想定できる問題となる為トータルでメリットが出ると判断したのです。
究極の製品化
軸受を用いた機械装置を製造されているメーカーは世界中に存在しますが、軸受は過去から発展した経緯から汎用性が高く選定が容易で世界中で標準化されているため非常に使いやすくなっております。多分世の中の自動車用を除く99.9%以上の機械機構では標準型番を使用していると思います。
しかし、一部では汎用型番では思ったような機械が出来ないと言ったケースが存在します。
また、成熟された機械では多数の競合メーカーが存在しどこのメーカーも同じような軸受の選択となり特徴のない、コストだけの評価となってしまっていることもあります。もちろん同じ軸受を使うと性能、定格荷重や回転数、サイズなどだいたい同じものになってしまいます。

そこで、今一度、必要な機能、荷重条件、機械サイズ、デザインなどから導き出された理想の軸受を考えませんか?
KMFならそれが可能です。
たとえば、工作機械のテーブルにこのソリューションを用いると、本体フレームと軌道輪が一体化して剛性が上がる、精度が上がる、鋳物フレームの内部に水冷ジャケットを設けて発熱する軸受軌道面の近傍で冷却が可能になる、テーブル外周に大径スラストを入れて傾き剛性を大幅に向上させる等です。
我々はそれらの究極のソリューションを提唱し、その設計や斬新なアイデアをサポートいたします。


