シェフラー時代に考えたこと

日本人として働いた日系企業と外資系

就職したのは日系メーカーでした。学校を出て初めての社会人としてこの日系企業で社会人としてのいろはを叩き込まれました。

結局、サラリーマンとしては日系50%外資50%の経験を得ることになりました。

それぞれに良い面と悪い面があり、それを認識できるようになったのはこの両方を経験したからであると思っています。

特にドイツ企業での経験は大変得るものが大きかった。皆さんもご存じの通り外資系といっても米国と欧州系とはずいぶん考え方が違いますし、さらに欧州の中でもドイツはドイツ特有の歴史、文化、考え方(フィロソフィー)があります。

ドイツの合理的思考

合理的思考と言葉で言っても当たり前のように思えますがドイツの合理的とは本当の意味での合理的であり、無駄なことはしてはいけない、親切心や先読みして手を打っておくなどの一手間をかけちゃいけないという徹底ぶりなんです。

何をすべきかではなく、何をしてはいけないかと言う事を徹底しないと叱られます。

日本企業では問題が発生しても現場レベルで何とか収めちゃうことが多々あり、上司などもそれを良しとする風潮がありますがドイツでは逆の考え方になります。現場ですべきことをだけを行ってそれで起こる問題は組織やシステムの問題なのでその問題を現場で収めず会社の問題としてエスカレーションすることが本当の意味で会社を良くするために必要なのです。

ルールそのものを疑え・ルールを作れ

法律でも約束事でも社内ルールでも礼儀作法でもとにかく事細かなことまで守ることそのものが正しいと判断される日本人ですが、ドイツでは少し違います。もちろん法の順守やマナーに関しては日本より厳しい一面もありますが、盲目的にそのルールの目的や必要性を理解しないで従う事は思考を放棄していることと同様に取られます。

そして、これは正しくないと判断したらそれを声に出して言う。誰も言っていなくても先ずはテーブルに乗せる。そして大勢が喧々諤々議論を繰り返しルールが見直され、新たに作られる(廃止される)という流れになるのです。

ですから常に何故か?どんな理由で?どんな経緯で?と納得いくまで考えつくすのがドイツのフィロソフィーだと感じました。

オンリーワンしか生き残れない

ドイツは人件費が高くエネルギーコストも高い。しかも労働者の権利が法律で厳密に縛られています。法人税も日本より高税率です。

これはドイツでメーカーとして大変不利な条件ばかりで、輸出大国であるドイツは世界的な競争に生き残るにはそもそもオンリーワンの優位点が無いと存続が出来ないのです。

そして、不利な条件だからこそ工夫して無駄なことはやめてここぞというポイントに絞って最大限のリソースを注入することでオンリーワンとして生き残れる企業だけが存在しているのです。

100年先を考えろ

私が入社した時はシェフラーはオーナー企業で株式は非公開の家族経営でした。

これはドイツ企業に多くあった形態で多数の大手企業もこのような形をとっていました。良い点は株主がオーナーしかいないのでオーナーの考えで配当は少なくても良いから利益は研究開発に回しなさい、といえばその通りになるのです。

シェフラーは過去よりそのような背景で生まれたイノベーティブな製品が多数存在しています。

需要から商品開発するのではなく、研究開発者がこのような製品を使うべきだと理想を掲げその開発に数十年単位で取り組み商品化する。

しかし、それらはあまりにも進歩的過ぎて製品をリリースしてもマーケットから全く評価されずに不発に終わることが多々あります。

でも、オーナー企業だった頃のシェフラーはそれでも良いのだ、いずれ世界が追いつくだろうと辛抱強くラインナップし続ける事10年、20年、30年後、それら商品が価値が見いだされ大ヒットしてゆくと言う事が多数ありました。

現在のシェフラーは一般的な株式公開の企業で家族経営だった頃とは違った経営方針となっており若干の寂しさを覚えずにはいられません。