トラブル事例 シリーズ②
トラブル事例2を紹介します。
前職のt期の経験です。
アプリケーション:裁断機
トラブル:軸受破損
2軸の切断刃が回転しながら紙類を裁断するいわゆるシュレッダー機の大きな機械での事例です。
軸を支える軸受には深溝玉軸受が使用されていましたが、軸受が破断してしまう事例があるという事で詳しく話を聞くことに。
外輪は割れてばらばらになっていました。
ハウジングはフレーム本体板金に穴をあけて補強の鉄板を溶接、軸受は外輪止め輪付きでスナップリングで外れ止めとしていました。

メーカーの破損分析資料より類似するケースが見つかりました。
ほぼ同じような破損形態ですね。

Schaeffler発刊 Rolling Bearing Damageより
3.3.3.3 外輪の周方向破損断裂
症状:通常分断は周方向で、いくつかの破片にわかれる。
外輪転送面(肉厚が薄い)から破断する。
外輪外周に傷は無い。比較的レース面もダメージを受けない
原因:ハウジングの強度不足 改善方法:ハウジングの強度アップ
以上の調査より、今回の破損原因はハウジングの強度不足と言う事が判明しました。
ハウジングの強度は思ったより重要だと言う事です。
ベアリングは単体でスペックの性能があると思われることがありますが、実は正しい取付環境において、という条件があります。 以下のイメージでわかるでしょうか。

内輪、ボールは圧縮荷重となるが、ハウジング強度が不足している場合は外輪に引っ張り荷重が働き破断する。
ベアリングの使い方に関して、さまざまな方法があり、メーカーが推奨する方法だけが正しいわけではありません。使用環境や条件によって自由な発想で使いこなせばよいと考えております。
この事例はコストダウンのために簡素化した結果ハウジング強度が不足して破損が発生しましたが、軸受サイズを上げることで破損は防げたかもしれません。同じ軸受を使用する場合はハウジングの荷重方向の強度アップ対策を打つべきでした。
ニードルベアリングを使用する事で大幅な定格荷重向上が見込めますがシャフトのたわみに対応できないのでそれに適した選択となると以下のようなベアリングも選択肢に入ってきます。

外輪側に球面滑り、内側にニードルローラーを使用する事で調心可能なニードルベアリングです。見たことありましたか?


